トップページへ戻る

1.17メッセージ

阪神・淡路大震災から10年を迎えるにあたり、「1.17」に寄せる心の交流を図るため、「1.17メッセージ」を募集したところ、1,000通を超えるメッセージが寄せられました。
ここでは、被災地からのメッセージをご紹介します。


 あのとき、国道は色彩のない服を着て、リュックを背負った人々が列をなして黙々と歩いていました。倒壊した家屋に目をやりながら、時折立ち止まって手を合わせる人もいました。
いま私たちは、強いまちと優しいまちにするために、そして6千400余の御霊の無念をはらすために、前を向いて強く歩いていきます。
男性(兵庫県芦屋市)


 熱い想いを抱いて、多くのボランティアの方々が来てくださいました。遠いところから夜行で、重労働で食事なし。疲れていても段ボールにくるまって、夜を明かし、朝は早くから坂道を水くみに動いて下さった。冷え切った心にあたたかい豚汁がしみました。みなさんの優しさに立ち直ることができました。このご恩は一生忘れません。
女性(兵庫県芦屋市)


 あの日、一人暮らしの私は、これから先どうしたらよいか、途方にくれていました。パンを分けて下さって、寝る場所を分けてくださって、本当にありがとうございました。あのとき体験した人と人と支え合う、ともに生きるということをこれからも大切にして生きていきたいと思います。
今は保健師として働いています。
女性(兵庫県川西市)


 何より一番思い出すのは、ボランティアに来て下さった方々のことです。小学生だった私と、マジックをしてくださったり、たくさん遊んでくれました。
あのときの私を支えてくれたのは、ボランティアの方々でした。本当にありがとうございましたと伝えたいです。
いま大学生になった私は福祉の道に進もうと考えています。
女性(神戸市)


 全ての人が社会に、そして周囲の人に支えられて生きているということ、あの時、励まし、励まされたことを一人ひとりが心の中で風化させてはならないと思います。
男性(神戸市)


 当時は病院で看護婦として働いていましたが、まるで戦場のように医療用品がなく、助かる人たちが助からず、人間の限界を見せつけられた気がしました。でも世界から救援物資が届くなど、人間の温かさも見ることができました。 女性(神戸市)


「震災の記憶と旅立ち」をテーマに文芸作品を募集しました。そのいくつかをご紹介します。


語りつぐべきもの〜神戸・三ノ宮駅周辺〜
藤原恵美(伊丹市)

誰かが誰かの為に、
公衆電話に十円玉を置いて行く。
次の誰かも置いて行く。
ほとんど減らずに積み上げられてゆく十円玉。
誰かは皆の為に、信号不能の交差点で交通整理を買って出た。
誰かは誰かを思い、
持てる限りの水と強い意志を胸に、
余震が続く線路の上を夜通し歩いた。
私は、ただじっと見ていただけだった。
目が離せなかった。
あの日、たぶん世界中の誰もが
見知らぬ誰かの為に、
何かしてあげたいと思っていただろう。
そうして届いた、たくさんの思いに応えて
この街は立ち直り、今年も華やかな灯りに
包まれる。
あの地震、
奪って行った後の揺り返しに、
こんなに素敵なものを残して行ったよ。


紀行文
ルミナリエの光の下で
中嶋邦弘(神戸市)

年末、鎮魂のイルミネーションを阪神・淡路大震災の被災地に灯す光のページェント「神戸ルミナリエ」の初日、点灯を待つ長蛇の列の中で、いつも探し求める姿がある。
十年前、阪神淡路地域を襲った未曾有の激震は住み慣れた街を壊滅させ、その爪跡の残る被災地は夜になるとビルや家の電灯の数も激減して暗く寂しい街と化し た。神戸居留地跡のビルの谷間、不安と期待の交錯する暗闇の中、大勢の人たちと並ぶ私の近くに、手をつなぎ合った三人のお婆ちゃんたちがいた。久しぶりに 再会したことで話が弾んでいる。ご近所仲良し組だった三人とも震災で家族を失い、一人ぼっち。それぞれ遠い郊外の仮設住宅や、隣人たちが去って瓦礫しか残 らない被災地域で運良く残った自宅にと、散り散りばらばらに別れて住んでいるそうだ。孤独で、生甲斐も無く、あの震災で死んでいたほうがましだったとさえ 思われる昨今の生活を訴え合っていた。そこに潮が引くようにざわめきが収まり、ひと時の静寂の間を置いて一斉点灯。暗かった通りに煌くばかりの光の世界が 現出する。色とりどりに散りばめられた三十万個の電灯が放つ光のシャワーが降り注ぐ。三人、輪になって手を取り合い、光を浴びて影絵のようにイルミネー ションを見上げるお婆ちゃんたちの顔、顔、顔。頬を伝う止め処ない涙に咽び、「やっぱり、生きてて良かったあ!」と共に掛け合う声が潤んでゆく。周りの人 たちも痺れるような感動にもらい泣き。生き残ってこれたからこそ感じられるルミナリエの暖かく身も心も癒す光は、震災で亡くなった人々の魂を鎮めるだけで なく、生きてここに集まった人々を励まし、生き抜く力も与えた。
ふと我に返り、今夜もあの時に見たシルエットを求めて視線を巡らせ・・・。
見つけた。あのお婆ちゃんたち三人組の元気な姿を。